先日、宇宙飛行士・若田光一さんの講演を聴いてきました。
国際宇宙ステーションのコマンダー(船長)を務めた経験に裏打ちされた言葉の一つひとつを、とても丁寧にユーモアを交えながら伝えてくれました。

国際宇宙ステーションと飛行士の役割

そもそも国際宇宙ステーション(International Space Station、略称:ISS)では、何が行われているのか。

ISSでは、常時6名の宇宙飛行士が滞在することが可能だ。
彼らの活動の中心は、世界各国から依頼されている宇宙環境を利用した各種実験。
分野は、農業、医療、素材、生命科学、(自らの身体を使った)人間工学など、多岐にわたる。
実験以外にも、船外活動を含めたISSの維持管理、天体観測などがある。

つまりISSで活動する宇宙飛行士には、様々な分野における技術的な専門知識が必要とされる。
他のメンバーに万が一のことがあった場合に備えて、外科手術のスキルも訓練の一つに含まれているという。

そして、こうした専門知識以外に重要なスキルがある。

それが、今回の講演テーマ「リーダーシップ」だ。

閉鎖空間でたった6人で半年間過ごす

「あいつ、嫌な奴だな」
そんなときでなくても、仕事が一区切りしたときなど、一歩外に出て新鮮な空気を吸って気分転換した経験は誰にでもあるのではないだろうか。
しかし、ISS滞在中はそういうわけにはいかない。
一歩外に出れば、そこは真空の世界。残念ながら、新鮮な空気はそこには存在しないからだ。

文化的背景が異なるメンバー6名が、閉鎖空間で半年間過ごす。
地上での開放空間であってもトラブルが絶えない人間関係のことを考えると、想像を絶する過酷さだ。

だから宇宙飛行士が受ける訓練には、対人関係に関する内容が当然のように含まれている。

若田さんは、特に大切なのがリーダーシップとフォロワーシップである、と何度もおっしゃっていました。

リーダーシップとフォロワーシップ

リーダーシップという単語はよく耳にするから、イメージが湧く。
辞書には「指導者の地位・任務。指導者としての素養・力量・統率力」と、ある。

しかし宇宙飛行士になるような人は、そもそも基本的能力が高い。
勝手な推測ではあるが、おそらく一般的な意味をはるかに超えるリーダーシップ力を持っているに違いない。
そんな人たちが集まって議論をすると、どうなるか。
リーダー同士のぶつかり合いは、争いしか生まれない。
つまり、チームとして機能しなくなるのだ。

そこで大切なのが、フォロワーシップ。
少し長くなるが、意味は「集団の目的達成に向けてリーダーを補助する機能や役割。 フォロワーには、指示に従って成果を上げるだけでなく、自発的に意見を述べたりリーダーの誤りを修正することも期待される」。

チームは目的を達成するために存在するのであって、みんなが仲良くすることでも、誰かの正しさを証明することでもない。
常に死と隣り合わせの環境であれば、なおさらだろう。
リーダーもフォロワーも、単にチームにおける役割である。
少ない人数で、時と場合に応じて立場を変えてしなやかに柔軟に問題に対処するのだ。

日本の企業文化にどっぷり浸かっていると、このあたりの感覚はわかりにくいかもしれない。
しかし少子化の影響による就業人口の減少は、歯止めが効かない状況にある。
そう考えると、国や企業を宇宙ステーションに見立てて、リーダーシップとフォロワーシップに対応した新しいマネージメントが求められるのではないか。

ちなみに、若田さんがチームには「ユーモア」が大切だと言っていた

やはり「おもしろ成分」は、世界共通なのだ。


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