ヌケ感。
ファッション業界で、一世風靡した言葉。

その意味は、完璧なおしゃれではなく、どこか抜けた部分をあえて作ること。
それによって、気取りのない親しみやすくリラックスした雰囲気が生まれ、自然で柔らかい印象を与えるのだそうだ。

一歩間違えると、単にだらしのない残念な人になってしまうらしい。
ということは、ヌケ感を作るために気が抜けないということか。
オシャレは、なかなか大変である。

「ヌケ感」は、おもしろ成分の一つとしても存在する。
ただ、ファッションで使われている意味とは、ちょっと異なる。

おもしろ成分でいう「ヌケ感」には、2つの意味がある。

一つは、「出口」。
もう一つは「できなさそうでできる感」だ。

出口があるから楽しめる

あなたは、出口がない状況を楽しめるだろうか?

お化け屋敷、巨大迷路、ゲームソフト、小説、……。

いずれも、出口が存在する前提だ。
「このお化け屋敷は、出口が見つからないかもしれません」と言われたら、大抵の人は返金してもらうだろう。
出口のない果てしなく続くゲームソフトは、逆にすぐに飽きてしまうかもしれない。

このように他人が作ったものではなく、自分で「見つからない出口」にハマるときもある。

例えば、仕事、恋愛、人間関係の悩みだ。

大抵の場合は、後になって笑い話になったりするものである。
しかし、その渦中にいるときは、なかなか出口が見つからず絶望感を感じるかもしれない。

サラリーマンだった頃、ソフトウェア開発部門の執行役員という立場だった。
ここでは詳しくは書けないが、いろいろあって同業他社と経営統合したときのこと。
最初に与えられた仕事は、倉庫整理だった。

倉庫整理番、初日。
広大な倉庫を埋め尽くすガラクタと資料の山を見て、悲しさと悔しさと絶望感を感じた。
と同時に、目の前の光景が現実とは思えず、つい笑ってしまった。
人間は理解できないことに出会うと笑ってしまう、というのは本当なのだ。

それから3ヶ月の間、ほこりが舞い、隅々までカビが生えわたっている倉庫で働く毎日。
そんな状況でも、たのしむことができたのは「出口」の存在だ。

当時の私にとっての「出口」とは、倉庫整理が終わったときの光景。
うず高く積まれた荷物が、綺麗に片付いたとき。それが、「出口」だ。
その光景を思い浮かべ、ワクワクしながら作業を進めていたのだ。

どんな状況であっても、必ず出口は存在し、そこから抜けられる。
その確信があれば、今の目の前で起きていることをおもしろがることができるのだ。

できなさそうでできるからおもしろい

「できそうで、できない」
これは、ちょっと悲しい。
あとちょっと、と言いながらハマっていくパターン。
例えば、UFOキャッチャーだ。
もう少しで景品が取れそう。でも、取れない。
悔しいから、また200円入れる。でも、取れない。
そして、小銭がなくなってあきらめて離れたときに、次にやった人がすぐにゲットする。
やっぱり、悲しい。
はじまりは「つまらない」で、そこから抜けられないことも多い。

「できなさそうで、できる」
これは、嬉しい。
無理だと思っていたら、できた。
海外に行ったとき、英語ができないと思っていたけど意外となんとかなる感じ。
「できない」は単なる思い込みだったりすることも、よくある話。
いずれにしろ、できなさそうでできたときは、嬉しい。
だから、またやりたくなる。やるから、またできる。
こうやって、おもしろいの循環が生まれるのだ。
あっさりと「つまらない」から抜け出す。

おもしろ成分の「ヌケ感」

おもしろくない状態を「抜け」て、面白い状態にすることができる効果。あるいは、その状態。

抜けた状態を想像するか、できなさそうでできることを、やる。たったそれだけだ。

おもしろ成分の「ヌケ感」を味わうには、ファッションのような技術も知識もいらない。

そして、少しくらい失敗したところで、だらしなく見えることはないのでご安心を。


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